結論|新NISAは「総取り崩し額+残資産」で考えるのが最適
この記事の結論を先に提示します
新NISAでは
「取り崩していくら使えたか」だけでなく
「最終的にどれだけ資産が残るか」
も含めて判断することが重要です
今回、以下の3パターンを比較しました。
- 一括売却
- 定額取り崩し(月25万円)
- 4%取り崩し(通称4%ルール)
結論としては、
4%取り崩し(通称4%ルール)が
最も合理的な出口戦略です
※4%はあくまで過去データに基づく目安であり、
将来に渡り安全性が保証されるものではありません
※投資はリスクを伴いますので必ず、
自己責任と余剰資金でやりましょう
前提条件(本シミュレーション共通)
この記事の計算前提を明確にします。
- 月3万円を20年積立
- 年利10%(一定と仮定)
- 初期資産 約2,155万円(20年積立)
出口戦略3パターン
今回のシミュレーションでは、
以下の3パターンを比較対象としています。
① 一括売却
最初にすべて現金化してしまいます
② 定額(年300万円)取り崩し
毎年、年300万円(月25万円相当)を
取り崩す前提です。
2人以上世帯の消費支出は月25万〜30万円前後
のため、月25万円=年300万円としました
参考:総務省統計局「家計調査」
③ 4%取り崩し(4%ルール)
毎年、資産の約4%を取り崩す方法です
4%ルールは有名な出口戦略で、
米国の大学研究(トリニティスタディ)による
考え方で、「一定の条件下であれば、長期間にわたり
資産を枯渇させずに取り崩せる可能性が高い」
とされています
例えば、株式と債券を組み合わせたポートフォリオ
において、毎年4%程度の取り崩しであれば、
30年以上資産が持続したケースが多いという様な
研究結果です
もちろん、将来の運用利回りや市場環境によって
結果は変わるため、絶対に資産が減らないわけでは
ありませんが、「資産を守りながら使う」ための
現実的な目安として広く使われています
本記事の年利10%で運用できる前提であれば、
4%の取り崩しは利益の範囲内に収まりやすく、
元本を維持または増やしながら取り崩すことも
可能になります
計算の考え方(1年目・2年目)
シミュレーションにおける計算方法を
具体例で説明します。
① 一括売却
1年目に2,155万円全額を売却します
2年目以降は0のままで、
複利運用が完全に止まります
② 定額(年300万円)取り崩し
1年目
利益:2,155 ×10%=215
取り崩し額:300
資産:2,155+215−300=2,070万円
2年目
利益:2,070×10%=207
取り崩し額:300
資産:2,070+207−300=1,977
取り崩し額が利益を上回るため、
資産は減少していきます
③ 4%取り崩し(4%ルール)
1年目
利益:2,155×10%=215
取り崩し額:2,155×4%=86
資産:2,155+215−86=2,284
2年目
利益:2,284×10%=228
取り崩し額:2,284×4%=91
資産:2,284+228−91=2,421
利益の方が取り崩し額より大きいため、
資産は増加していきます
年間シミュレーション(14年)
定額取り崩しで資産が枯渇する
14年目まで比較します。
① 一括売却
| 年 | 年初資産 | 利益 | 取崩額 | 年末資産 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2,155 | 0 | 2,155 | 0 |
2年目以降ずっと0です
② 定額(年300万円)取り崩し
| 年 | 年初資産 | 利益 | 取崩額 | 年末資産 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2,155 | 215 | 300 | 2,070 |
| 2 | 2,070 | 207 | 300 | 1,977 |
| 3 | 1,977 | 197 | 300 | 1,874 |
| 4 | 1,874 | 187 | 300 | 1,761 |
| 5 | 1,761 | 176 | 300 | 1,637 |
| 6 | 1,637 | 163 | 300 | 1,500 |
| 7 | 1,500 | 150 | 300 | 1,350 |
| 8 | 1,350 | 135 | 300 | 1,185 |
| 9 | 1,185 | 118 | 300 | 1,003 |
| 10 | 1,003 | 100 | 300 | 803 |
| 11 | 803 | 80 | 300 | 583 |
| 12 | 583 | 58 | 300 | 341 |
| 13 | 341 | 34 | 300 | 75 |
| 14 | 75 | 7 | 300 | 0 |
資産は減り続け、14年目で0になります
③ 4%取り崩し(4%ルール)
| 年 | 年初資産 | 利益 | 取崩額 | 年末資産 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2,155 | 215 | 86 | 2,284 |
| 2 | 2,284 | 228 | 91 | 2,421 |
| 3 | 2,421 | 242 | 96 | 2,567 |
| 4 | 2,567 | 256 | 102 | 2,721 |
| 5 | 2,721 | 272 | 108 | 2,885 |
| 6 | 2,885 | 288 | 115 | 3,058 |
| 7 | 3,058 | 305 | 122 | 3,241 |
| 8 | 3,241 | 324 | 129 | 3,436 |
| 9 | 3,436 | 343 | 137 | 3,642 |
| 10 | 3,642 | 364 | 145 | 3,861 |
| 11 | 3,861 | 386 | 154 | 4,093 |
| 12 | 4,093 | 409 | 163 | 4,339 |
| 13 | 4,339 | 433 | 173 | 4,599 |
| 14 | 4,599 | 459 | 183 | 4,875 |
資産は増え続けます
売却総額(取り崩し総額+残資産)の比較
3つの出口戦略についての、
売却開始から14年目の結果は以下です。
■ 一括売却
・取崩総額:2,155万円
・残資産:0
・合計:2,155万円
■ 定額(年300万円)取り崩し
・取崩総額:4,200万円
・残資産:0
・合計:4,200万円
■ 4%取り崩し(4%ルール)
・取崩総額:1,742万円
・残資産:4,875万円
・合計:約6,617万円
資産の4%取り崩し(4%ルール)が
最も大きな価値を生みます
4%取り崩し(4%ルール)の弱点とその対策
弱点と解決策をセットで提示します。
弱点|1年あたりの取り崩し額が小さい
資産を守る設計のため、
短期的な取り崩し額は少なめになります
対策① 積立額を増やす
元本が大きくなれば取り崩し額も増えます
参考記事:新NISAの月5万円投資で老後はいくら?20年・30年・40年シミュレーション
参考記事:新NISAで月3万円積立したら20年後いくら?利回り別シミュレーション
対策② 積立年数を伸ばす
運用期間が長いほど複利効果が働き、
資産の増え方が急カーブで大きくなります
参考記事:新NISAは月1万円でも意味ある?20年後のリアルな結果と結論
参考記事:新NISAの月5万円投資で老後はいくら?20年・30年・40年シミュレーション
対策③ 他の投資も組み合わせる
複数の投資を組み合わせていくことで
資産を増やすと同時にリスク分散にもなり、
取り崩しの余力も広がります
関連記事:総資産公開|積立投資7年でいくらになった?NISA・ロボアド・仮想通貨・CFD
年利が高ければ資産は増えて、取り崩し額も増えます。
以下の記事では、私のつみたてNISAの実績年利29%
および5%/10%/15%20%で比較シミュレーション
しています
参考記事:積立投資の売却タイミングはいつ?出口戦略の最適解
また、以下の記事では、年利3%/5%/7%/10%の
資産の違いを紹介しています
参考記事:新NISAで月3万円積立したら20年後いくら?利回り別シミュレーション
結論
新NISAの出口戦略は、
売却フェーズでもまだ資産を
- 残したい
- むしろ増やしていきたい
と考えるなら、
利益の範囲内で取り崩す運用が有効です
本記事のシミュレーションでは、
4%取り崩し(4%ルール)が
これに該当します
※4%はあくまで過去データに基づく目安であり、
将来に渡り安全性が保証されるものではありません
この方法であれば、
取り崩した後の残資産も引き続き運用されるため、
複利の効果を維持したまま
資産を増やし続けることが可能です
今回の定額(年300万円)取り崩しのように
利益を上回るペースで取り崩すと、
資産は徐々に減少し、最終的には枯渇します
一括売却はその時点で運用が終了するため、
複利の成長が完全に止まるので、
売却総額としては最も非効率な選択
となります
最後に
せっかくコツコツと長期にわたって積立投資を続け、
時間を味方につけて複利の力で資産を大きくしてきた
にもかかわらず、最後に一括で売却してしまうのは、
あまりにも味気なく、もったいない選択だと思います
積立フェーズで活かしてきた複利の効果は、
出口戦略のフェーズでも引き続き、
働かせることができます
取り崩し方を工夫することで、資産を使いながらも
しつこく増やし続けることが可能になります
だからこそ新NISAでは単に「売る」のではなく、
複利を活かしながら賢く取り崩していくことが、
資産総額を最大化するうえで重要です
※投資はリスクを伴いますので必ず、
自己責任と余剰資金でやりましょう
